国会論戦で明らかになった菅首相の不当性・違法性
2020年11月7日記す
11月2日から6日にかけての衆参予算委員会で、日本学術会議新会員の任命拒否問題について論戦がTV中継され視聴した。
菅総理は当初「総合的・俯瞰的活動を確保する観点から」と説明していたものを、官房長官時代からの懸念(出身大学、地方、年齢、民間などの多様性)、既得権益・閉鎖的を持ち出し、憲法15条に基づく法制局同意の解釈を盾に詭弁を弄して、頑としてなぜ任命拒否したのかを論理的に説明しない。(できない)
菅総理が答弁で述べている要旨は以下の5点が最終的なものだが、仮に総理の答弁(説明)を前提としても、●以下に記したような明快な説明がなされなければ、今回の任命拒否が不当で違法なことは自明のことである。
この小学生でもわかるごり押しを総理大臣が続けることは、民主主義を破壊する暴挙であり、断じて許してはならないし、既に総理大臣失格である。
1.憲法15条第1項に基づけば、「推薦された方々を必ずそのまま任命しなければならないということではない」ということは、内閣法制局の了解を得た政府の一貫した見解
2.任命された会員は公務員となることから、その前提で社会的活動に対し提言などを行うため、専門分野の枠にとらわれず広い視野にたってバランスの取れた活動を確保することが必要。そういった視点に立って(学術会議に)求められる役割などに沿って判断した。
3.H30年ペーパーで、行政機関であることから憲法65条および72条規定の趣旨に照らし、総理は任命権者として日本学術会議の人事を通じて一定の監督権を行使できる。
4.憲法15条第1項で明らかにされている国民主権からすれば、総理は任免について国民および国会に対して責任を負うものでなければならないことから、推薦通りに任命しなければならない訳ではないという整理で、それに沿った対応。
5.以前は、学術会議が正式の推薦名簿を提出する前に、様々な意見交換の中で、内閣府事務局と学術会議の会長との間で一定の調整が行われていたと承知。一方、今回の任命にあたっては、そうした推薦前の調整が働かず、結果として学術会議が推薦した者の中に任命に至らなかった者がいたということ。
以上のすりかえ詭弁答弁(説明)要旨に対する主張
- 法制局長官の国会答弁(11月5日参院予算委員会)では、「推薦を最大限尊重することは当然で、恣意的に政府がその自由な裁量権を発揮したような形でのものは認められない」と答弁しており、自由な裁量権ではない「相当な理由」なり、国民・国会に対し「責任が負えない内容」を説明できなければ、恣意的な任命拒否という法律違反を行ったこととなるのは自明。
- そもそも、H30年ペーパーの公文書としての妥当性が極めて疑問。学術会議事務局長名の文書だが、事務局内部での稟議・決裁がないこと、学術会議会長、副会長、部会長などの幹部個人および幹事会などの組織機関への事前事後の相談・了解がないこと、から個人メモの類いの文書(かつて菅官房長官が加計学園問題で言った怪文書の類い)と言われても仕方ないもの。
- こうしたメモを金科玉条のごとく振りかざし、一貫した考えと強弁することは合法的主張ではない。