社会観察雑記帳 -市民感覚の何かおかしい80- 地球沸騰化筆頭にグローバル視点の危機感欠如の日本政府を憂う 通算投稿125回目

          地球沸騰化筆頭にグローバル視点の危機感欠如の日本政府を憂う

                                                                                                                                                2023年7月31日

    7月25日(土)のTBS報道特集で、地球の気候変動に関する世界各地の異変のレポートが放送された。
    過去12万年で最も暑い一週間の各地の様子が目を引いたが、深刻なのは永久凍土が溶けだし始めて、元には戻らない臨界点が近いという専門家の見解であった。


*臨界点とは、それを超えるとそのあとでいくら人間が対応しても、地球自然の流れは 止められず、それこそ沸騰化に向けて破滅的な時を歩み出す基準(温度、CO2濃度等)のこと

 

    番組のコメンテーターで東大大学院総合文化研究科准教授の斉藤幸平氏が出演していた。
斉藤氏は、日本政府の従来の成功体験を踏襲した気候変動対策(=経済と環境双方を好循環させる施策、技術革新に注力する構造改革など)では、欧州はじめ世界の意識、施策から周回遅れであり、旧態型資本主義温存の危機感欠如であり、①資本主義からの脱却、②ゼロ成長をベースにした発想の転換、③将来の技術革新に過度に依存せず将来世代のため不都合でも事実を周知、が喫緊に求められると主張していた。

    斉藤公平氏は検索すると「哲学者」ジャンルであるが、著書「人新世の資本論」で著名となった研究者で、彼の主張は危機感が全く感じられない(としかみえない)日本政府、メディア、一般国民すべてが傾聴に値する論だと思う。

 

    環境・エネルギー政策では石炭火力温存(G7で唯一)、原子力発電回帰
    食料確保では体系的計画的食料安全保障政策なし
    技術革新に期待するといいながら研究開発に注ぐ予算は世界比較で極めて低位
    マイナカード問題で明白となったデジタル化遅れの実態
   ちっとも異次元でない陳腐な人口減少抑止政策
   予算の使い方(防衛費倍増より、環境対策、食料安全保障、技術革新予算に金を使うべき)がピント外れ

    挙げればきりのない岸田政権の体たらくぶりだが、小泉、安倍、菅(安倍氏の前に1年ずつの総理は居たが)と続いた新自由主義信奉の自民党政権が多くの国民から信頼、信用されていないことが日本の悲劇である。

    参政権を持つ国民も、しがらみによる投票行動が自民党をゆで蛙のままにしているし、メディアも、歴代政権から籠絡させられ本来の監視機能、世論喚起機能を失しているし、政府だけが悪いわけではない。


    しかし、この閉塞感を打破するには自民党議席を大幅に減少させ、緊張感・責任感ある政治体制を再構築しなければならないし、そのための行動を国民ひとりひとりが起こすことが必要かつ重要であろう。

    冒頭の報道特集のもう一人のコメンテーターは東大未来ビジョン研究所江守正多教授であったが、彼が紹介したのが、「欧州では環境問題に対する政府政策に反対する勢力の実行動がしっかり行われ、かつ、メディアも報道する、そのことが国民全体に知れ渡り国民的議論、コンセンサスが形成されている」ということ。

 

    日本国民はおとなしすぎる。新しい戦前としてはならない。