社会観察雑記帳-市民感覚の何かおかしい69- 記者会見とはとても言えない首相会見のルールのひどさ 通算108回目投稿

                   記者会見とはとても言えない首相会見のルールのひどさ

                                                                                                                    2022年8月31日

 

 コロナ感染からの復帰を機に岸田首相会見が8月31日午前にあった。安倍・菅時代と同様、官邸記者クラブ所属社優先、質疑は1社1問のみ(更問禁止)、事前質問通告という官邸に都合の良いルールを岸田首相も踏襲しており、私たちがメディアに託している知りたいことが明らかになる会見とはとても言えない会見が、今日もむなしくすすめられた。

 

 記者は具体的に質問しているにも関わらず、岸田首相は冒頭発言の趣旨をを繰り返すだけで、聞いている私たちからは、岸田首相は「質問内容に正面からに答えない」「冒頭発言の繰返しにしか聞こえない」というストレスが残ったまま、次の質問社にいってしまう。

 こんな会見で良いのか?メディアは満足しているのか?

 

 具体例を挙げる。

安倍晋三国葬儀に関する東京新聞金杉記者の質問

世論調査では反対多数、国葬を明記した法律・基準もなく、国論を二分する国葬予備費活用することに疑問の声上がっている。先に国会にはかることなく決定したのは誤りだったのではないか。

国葬にする理由に国際儀礼・礼節に反するということも上げているが、大平元総理の内閣・自民党合同葬でも外国要人が多数参列した。大平元総理の時は、国際儀礼を欠いていたとの認識なのか。

.31日18時から国葬反対集会があるが、こうした国葬反対の声を聞いて国葬儀を見直す考えはないか。

岸田首相の回答

 内閣設置法や閣議決定国葬儀を決定した。国民の中に様々な意見あることは承知しているし、説明が不十分との意見も真摯に受け止める必要がある。そのうえで冒頭述べたように国会において閉を中審査の形で決断した私自身がテレビも入った中で質疑に答える場を設定するようお願いしているところ。

 

 1.の誤りではないとの根拠を全く説明していない。

 2.には何も答えていない。

 3.も何も答えていない。

 本来は、更問で答えていないことを質すことが必要だが、日本の首相会見はそれすらやらない、できない。

 報道自由度ランキングで世界で2022年71位というすこぶる下位にランク付けされているのもむべなるかなである。

 

 こんな茶番を許している新聞・TV主要メディア、記者クラブ制度に胡坐をかいている既得権益維持の大手メディアに失望する。

 記者クラブ制度を容認するとしても、本来首相会見といえども主催は記者クラブであり、司会も幹事社が担うべきであり、更問も一つや二つは認めるべきであり、こうしたやり取りを活性化させないと国民が期待する首相会見とはならない。

 

 大手新聞・TVメディア中心に、現行慣行・ルールの打破・変更を議論する提起がなければ、政治部門の日本のメディアの存在価値はない。