社会観察雑記帳 -市民感覚の何かおかしい-66 通算105回目投稿 国会論戦 答えない、はぐらかす岸田首相答弁

                     国会論戦 答えない、はぐらかす岸田首相答弁

                                                                                                                  2022年6月14日

 

 6月15日で通常国会は閉幕し、7月の参議院選挙に突入する。国会最終盤での岸田首相の答弁を改めて検証してみると、首相就任当初から同じではあるが、丁寧に言葉を重ねながらも、質問に正面から答えない、詭弁を弄する=いいつくろう、はぐらかす=何も答えていない、答弁が散見され、安倍元・菅前首相と何ら変わらない信頼できない首相像が改めて明らかとなった。

 

  安倍晋三元首相は、言葉は勇ましいし、言い切る答弁が多かったが、桜を見る会前夜祭での質疑で衆議院事務局から指摘されたように100回を超える嘘の答弁をした実績があり、また、加計学園問題でも特区申請を知った時期について明らかに嘘の答弁を堂々としたり、全く信用ならない、信頼に値しない首相だった。

 

  菅義偉前首相は、言葉も稚拙で少なかったが、肝心の答弁で質問者が理解できる理由を言わない答弁を繰り返すことが多かった。(日本学術会議問題など)

 

  直近の2名に比べると岸田文雄現首相は、一見意味の通じる言葉を使い、丁寧に答弁しているように見えるが、その実、正面から答えない(霞が関スタッフの伝統的な答弁作成技術を踏襲)、はぐらかす(いわゆる詭弁を弄する)、いいつくろう(悪く言うとごまかす)が目立つ答弁姿勢といえる。言質をとられないよう、言葉は重ねるが解釈余地のある表現で何も答えていないに等しい答弁が多い。

 

  6月13日の参議院決算委員会総括質疑の立憲民主党杉尾秀哉議員質問と岸田首相答弁のやりとりを例として以下に記す。

 

杉尾)骨太方針に、防衛費は5年以内の増強、別の場所にNATO諸国はGDP比2%と記し、高市政調会長も積み上げれば10兆円規模とTVで発言している。政府内でも積み上げ試算しているのではないか。

岸田)年末までに、何が必要で、そのためにはいくら必要でその財源をどうするかセットで議論し詰めていく。現時点で何も決まっていないので、何も答えられない。

杉尾)7月参議院選挙は白紙委任をもらうつもりか。

岸田)何が必要なのか等をこれから議論していく。

 

⇒バイデン大統領には相当な増額と約束しながら、何も決まっていないとごまかす答弁

⇒一定の腹積もりなければ、相当な増額とは言えないはず。何も決まっていないなら、なぜ年末までに議論し決めていくとバイデンにいわなかったのか。骨太方針にもそう記さなかったのか。

 

杉尾)骨太方針に令和版所得倍増が記載なく、資産所得倍増にすりかえている。令和版所得倍増は総裁選向けだけのまやかしだったのか。

岸田)資産所得倍増の考え方は、所得を増やす様々な施策の一つ。所得を増やすための賃上げ支援なども行っている。

 

⇒岸田答弁はごまかし。所得倍増はまぼろしで、総理総裁になるためのスローガンだったことが明白になった。

 

杉尾)資産所得倍増施策は富裕層、高齢者層には適用できるが、中間層はそんな余裕はない。また金融所得課税強化も総裁選では言っていたが、資産所得倍増はそれとは真逆の施策で、資産運用できない人は格差縮小どころかますます格差拡大する。

岸田)所得増と資産所得増はセットで引き上げることが大事といっている。賃上げトレンドも出てきた。金融所得課税強化も党税調などで議論を続けている。(課税強化の前に)まずは所得増加、中間層の資産所得倍増支援策を掲げている。

 

⇒格差拡大には正面から答えていない。

⇒賃上げトレンドも一部大企業のみで答弁材料に入れることはごまかしといえる。

 

 こうした、信用できない、信頼できない答弁を繰り返す首相が続いている国が世界の中で相対的地位低下に直面していることは、むべなるかなである。

 また、国会という言論の場で一国の総理大臣が、答えない、ごまかす、いいつくろうを連発するこうした対応は、近くには霞が関はじめとする公務員に、ひいては子供たちの教育上大いなる悪影響を及ぼすことを肝に銘じるべきであろう。