社会観察雑記帳 -市民感覚の何かおかしい㉜- 通算投稿58回目 2020年6月14日記 持続化給付金事業の不透明さ

          持続化給付金事業の不透明さ

                               2020年6月14日記

 

  コロナ禍で事業継続が危うい中小事業者への政府としての支援策「持続化給付金」事業が5月1日から申請受付がはじまり、概ね2週間で給付との触れ込みであったものが、申請件数の7~8割は触れ込み通り給付されているものの、給付が遅れている申請者の声が社会に届き、それを野党が国会で問題視した結果、事業の事務受託業者であるサービスデザイン推進協議会(以下サ推協)とその再委託先である電通グループ等々の不透明性が明らかとなり、中小企業庁(以下経産省とする)のずさんさとともに社会問題化している。

 

  • 電通パソナ、トランス・コスモスで設立したサ推協の実態がトンネル団体ではないかとの疑惑
  • 事業規模や決算公告未実施団体ということからそもそも本事業の入札資格があったのかという問題
  • 総額769億円に対し電通に749億円で事業を再委託し、電通はさらに子会社5社に再々委託し、子会社はさらに外注等に出すというビジネスモデルが、経産省、サ推協が全貌を把握管理できているのかとの疑惑
  • 1か月以上未給付の申請者に対する説明、連絡が全くない件数が多すぎることへの明確な理由・原因が経産省・サ推協から何らなされていないこと

 など、多々疑惑は尽きないが、本稿では、6月12日の衆議院計算委員会で野党共同会派の山崎誠議員が追及したサ推協等の事務受託団体が負うべき個人情報保護管理義務に関する契約未履行状態について、書き記してみたい。

 

 政府の事業を民間が受託しそれを再委託する場合には、事業遂行の「体制履行図」を提出しなければならない。5月に申請受付を始めるにあたり経産省に提示された体制履行図には再々委託先の電通子会社までしか記載されておらず、5月末~6月に野党等の追及でサ推協が出してきた体制履行図との齟齬があることが判明した。

 6月8日に政府(経産省)にも電通子会社、パソナ等外注先まで記載された体制履行図が提出されたことが質疑で明らかになった。このことをとっても、いかに経産省の管理がずさんだったか、サ推協の受託元締めとしての進捗管理能力がないかが明らかになった訳だが(8日提出の体制履行図には外注先以降の地域における再外注先は未記載)、山崎議員の質疑でさらに次の驚くべき事実が明らかになった。

 

 申請者の氏名、住所、職種、事業規模、経営状況等の個人情報を扱う申請相談、審査の実務を受託したサ推協、電通電通ライブほかの電通子会社、さらのその下のパソナ、トランス・コスモス等の外注先は、個人情報の厳格な保護責任が求められ、「情報取扱者名簿及び情報管理体制図」を体制履行図とあわせ、経産省に提出が義務付けられている。それが山崎質疑を通じ6月8日にようやく経産省に提出されたことが明らかとなった。

 申請受付開始から38日過ぎての提出にも驚くが、その名簿に記載されている人数はたったの14名との事実に驚愕する。

 

 名簿に記載しなければならないのは、情報管理責任者、情報管理実務責任者とともに、実際の個人情報に接する者と明記されているので、500か所以上のサポートセンターや審査実務者で個人情報に接する事務受託者は名簿に記載のうえ、経産省に報告義務があるにもかかわらず、また、社会問題化してから日数も経過しているにもかかわらず、情報取扱者名簿記載の人数が14名とはどういうことか?全国各地に散在している申請受付窓口、サポートセンター、審査実務者は個人情報に接していないとでも主張するつもりなのか?

 

 まったく、サ推協は全体管理をする能力が質も量も備わっていないことの証左のひとつであり、このようなビジネスモデルを放置している経産省の責任・罪は極めて重い。

 

 そもそもサ推協事態の当初からの14事業の検証、同様の協議会形式による他の事務受託事業の検証も必要であり、落ち着いた段階で改めて検証・総括を国会で行ってもらいたい。

 また、第3次補正で持続加給金事業はさらに拡大継続されることから、政府は事務委託先としての適正性を明確なデータを用いて説明・証明しなければならない。

 

 そのためにも「#国会を止めるな」は必須である。