年金生活に入った普通の市民感覚の吐露(本・映画)-この本この一節⑩ 特別編4- 映画「i-新聞記者」を観て              通算投稿36回目

        -この本この一節⑩ 特別編4-

     映画「i-新聞記者」を観て         通算投稿36回目

                             2019年12月25日記す

 「この本この一節」の特別編4として、森達也監督ドキュメント映画「i-新聞記者」鑑賞の感想を投稿します。
 東京新聞望月衣塑子記者の取材活動に密着したドキュメント110分で、先に松坂桃李主演のフィクション「新聞記者」を観た関係で、この映画も観なくてはとの思いで12月23日(月)に出かけました。

 

望月記者は、社会部記者なのに政治部遊軍として菅官房長官会見でのやり取り、慣例をやぶる行動に対する内閣記者会への内閣官房からの申し入れ、望月記者への質問制限などで話題となった記者ですが、映画は、「辺野古土砂赤土投入疑惑取材」「森友問題での籠池夫妻取材」「加計問題で真実を暴露した前川喜平事務次官取材」「伊藤詩織氏、山口敬之氏民事口頭弁論前後取材」など、新聞記者としての足で稼いだ取材風景を描写しつつ、菅官房長官会見での質問と長官の素っ気ない回答、広報室長の質問妨害発言が赤裸々に映し出されていました。
 タイムリーだったのは、伊藤詩織氏の民事勝訴があった直後の鑑賞でしたので、伊藤・山口両者と望月記者とのやりとりと地裁判決との関連性が印象的でした。

 

1. この一節
 映画の中盤で、望月記者が外国特派員協会で菅官房長官会見に関し会見したあと、個別に外国プレスとインタビューを受けている場面の外国プレスの発言です。
「あなた(望月記者)はジャーナリストか、東京新聞記者か」
「ヨーロッパでは、記者という職業はギルドのようなもの。所属する社や組織は関係なく、記者仲間同士使命感を共有して、ジャーナリストとして真実を追求するし、事実を報道する(たとえ馘になっても)」
 

最初の質問に対し、望月記者は、
「ジャーナリストでありたいが、日本では記者クラブ制度が定着し、東京新聞記者証がなくなると取材が難しくなるのも現実」と、しごくまともに答えたあとの、次の発言でした。
 このドキュメントは、権力をもつ政府の横暴を描写することを通じ、日本のメディアが権力を正しくチェックできていない現状を望月記者の行動に密着することで訴えることが主題と思いましたので、上記の外国メディアの発言をこの一節に挙げます。
 日本のメディアは、改めてかみしめてほしいと思います。

 

2. 平日鑑賞の雑感
 このドキュメント映画は、11月5日から公開されていましたが、上映場所が限られていました。観ようと思い立って、ネットで上映場所を調べたら、12月20日~27日の週は、神奈川県では2館だけでした(横浜と厚木)。ちなみに、関東地方では、あと東京で3館、茨城で1館だけで、千葉、埼玉等はこの週は上映館ゼロです。
 私が行った横浜黄金町「ジャック&ベティ」という館も客席100の小さな映画館で、日に1回の上映のみ。12月23日は平日の月曜にも関わらず、私と同世代のシニア料金対象の人で満席の盛況でした。
 女性は2~3名のグループで、あと夫婦連れ、男性は圧倒的に一人でという客層が面白い分布だと思いました。


*こうしたドキュメント映画も関心ある人は多いということに心を強くした一日でしたし、興行収支の関係で予想が難しいのでしょうが、もっと多くの館で上映できたらと思います。