年金生活に入った普通の市民感覚の吐露(時事)ーそもそもこれでいいの ⑧安倍晋三 考ー 投稿通し17回目

 2019年7月21日23時、参議院選挙開票で自民党は改選議席を大きく上回ることが確実な情勢。選挙も終わったので、温めていた「安倍晋三 考」を投稿します。

 

2019年7月現在、6年半以上首相(総理大臣)の職にあり、このままいけば11月には歴代首相のなかで最長の記録を作る安倍晋三という人物が我が国の首相というトップリーダーにふさわしいのか、を普通の国民感覚で検証してみたい。

 

(1) 安倍晋三は首相の資質が備わっているか。
組織のトップリーダーの条件の主要なものは次の諸点がある。ましてや我が国を代表する首相ともなれば、多くの点で合格点と評価される人物であるべきである。
① 自身の経験、信条に説得力があり評価が高い
② 最終判断者であることを自覚し、判断にいたるまで反対意見も含め幅広く意見・提言を丁寧に聴取したうえで、論理的理由を明確にして判断する姿勢
③ 権限があることを自覚し、謙虚に対人、対課題にあたる姿勢
④ 公平無私、正々堂々を体現する姿勢
⑤ 全体として「人望がある」「信頼できる」という評価を得られる行動・言動

この5点の中では①~④の評価を経て⑤が最も重要であろう。
昨今はフェイクニュースという概念も飛び交い、否定・非難合戦の様相もあるが、多くの普通の国民が「人望」「信頼」を判断できる事実情報の提供をメディア、政権側・野党側に望みたい。


(2) 検証結果
① について
自身のHPで、安倍首相は、「美しい国、日本」を掲げ、頑張った人が報われる経済成長、安心できる社会保障改革、美しいふるさとを守る、地球儀俯瞰外交、憲法改正、を5つの決意としている。これが信条であろうが、そのめざす姿も具体策も抽象度が高く体系立てての説明もないためイメージできないし、そもそも少子高齢化、人口減少の成熟社会到来のなかで、従来型(過去の成功体験へのあこがれ)経済成長主義が正しいという説得力ある説明がない。


② について
政策立案が官邸主導で行われることが多く、担当省庁立案以外の案件では自民党内の議論・修正が安倍政権前に比べ極端に少ない印象がある。これは、小選挙区制での公認権を首相、官房長官、幹事長に握られ、異論・反対を声高に上げにくい空気が党内に蔓延していることが主因であろう。小泉政権の前までは、自民党内での議論が活発で、落ち着くところに落ち着いた印象があるが、安倍政権の進め方は党内でも異論を封じ提案そのままの成立(スケジュール含め)が最優先の感がある。(消費税増税延期・決行、消費減退策、軽減税制、金融緩和政策、防衛装備品爆買い、普天間辺野古問題、働き方改革法案、憲法解釈改憲憲法改正など)
また、国会での野党との論戦はさらにひどいもので、特定秘密法案、安保法制、普天間辺野古問題から働き方改革、統計不正、消費税増税対策、年金問題など、論理的に議論するというより、論点すり替え、同じ答弁繰り返し、逆に野党攻撃と国民に対し納得させる提案者としての説明努力が全く不足している感がある。


③ について
国会論戦を検証すれば自明のことだが、野党との論戦のときは首相でありながら席からヤジを飛ばす、共産党の質疑では極めて素っ気ない対応をする、野党が手を替ええ品を替え質問内容を工夫しても、答弁は最初に答弁した内容を繰り返すなど、およそ謙虚に、論理的に対応しているとは思えない。


④ について
森友・加計問題では、状況証拠は関与があったことを示し、多数の国民は薄々関与ありと思っているにもかかわらず、関与を全否定し、不都合な面会記録などは廃棄したと信じられない対応を担当部局にさせ、森友問題では稟議書偽装まで発覚した。「公平無私」「正々堂々」と評価できる要素は全くない。


⑤ について
組織のトップに立つ人は、上記①~⑤の要件が備わっている人が理想である。政治の世界でも企業の世界でも、ワンマンで天皇といわれる独裁的手腕でトップを務め、結果的に組織を発展させているトップが存在することは事実であるが、安倍晋三首相は本人の実力でワンマン・独裁的トップとなっているわけでもない。システムとして官邸主導、官邸権力を確立してしまったため、自民党国会議員、霞が関官僚が服従を余儀なくされている状況ではないか。そして、メディアも本来権力を監視・検証すべき存在だが、権力が逆らうことがためらわれるまでに強大になりすぎていると勝手に思い、その責務を全うしていない。

前述の①~④で見てきたように、安倍晋三という人物は、首相としては「人望がある」「信頼できる」と私は言えないし、普通の国民であれば私と同じ感覚ではないか。

 

能力・資質だけで見渡せば、自民党国会議員のなかに①~⑤に及第点がつく人物がいると思うし、何人か候補者も上げることができる。(現実には、総裁選は派閥とか、資金力とか、能力・資質以外の党内力学が絡むのも悪弊で、この改革も自民党は急務)

安倍晋三を首相にいだく日本の「悪夢」はいつまで続くのだろうか。