社会観察雑記帳 ―市民感覚の何かおかしい㉚- #検察庁法改正に抗議します        通算56回目

 ―市民感覚の何かおかしい㉚-
                                 #検察庁法改正に抗議します           通算56回目

2020年5月17日記す

 

先週、「#検察庁法に抗議します」というツィッターがリツィート含め爆発的拡散となり、私も14日木曜にツィッター投稿した。

 その成果でもあるのか、先週中の衆議院委員会採決は見送られ、衆院通過の成否は18日からの週に持ち越されているが、改めて今回の一連の動きに関する安倍政権の横暴性、非合理性を明らかにしておきたい。

 

1.2020年1月末に黒川東京高検検事長閣議決定で勤務延長させた件

(1)根拠の論理が全く非合理的で、およそ法治国家の体を成していない。

ア.特別法たる検察庁法には定年規定の例外規定はない。このことは、検察官の勤務延長はできないということを法定している。

イ.1981(S56)年国会答弁で、検察官には国家公務員法の勤務延長規定は適用さ れないと明言した政府見解が現に存在する。

ウ.検察官の勤務延長に国家公務員法の規定を適用できると解釈変更したという説明は全く非合理・非論理的である。

①解釈変更を明言したのは2月安倍首相が本会議での答弁が最初であり、それまでの間予算委員会審議も行っているが解釈変更したという答弁は全くない。(国家公務員法を適用できるという説明一辺倒)

②解釈変更したうえでの閣議決定であると強弁するのであれば、時系列順に法務省内、内閣法制局人事院、官邸との間でどのような検討経過、根拠にも続く判断があったのか、明らかにすべき。しかし、その文書、議事録、決裁書など一切存在していない(明示していない)。

エ.森法相の答弁内容がおよそ弁護士資格ある法相とは思えない非論理的答弁である。

①戦後初めての高検検事長の勤務延長が何故必要なのかの説得力ある具体的理由が答えられない。(抽象度の高い表現のみの答弁で、具体的例示すら提示できないのでは、納得できるわけがない。)

②震災時の個人的考えを突然披歴したり、答弁内容が一貫性もなく支離滅裂。

 

2.検察庁法改正を国会上程した件

(1)国家公務員の定年延長という括りで束ね法案として一括上程しているが、検察庁法改正案では、全く新たに勤務延長できる規定も盛り込んでいるにもかかわらず、一括上程とした政権の意図が胡散臭い。

ア.検察庁法改正案は、指摘された以上少なくとも束ね法案から分離し、単独上程すべき。あるいは、勤務延長できる規定は今回削除し、どうしても上程したいなら別途上程すべき。

(2)内閣委員会審議で、森法相の出席・答弁を拒否する与党の国会運営はおよそ民主的ではない。

ア.堂々と論戦の場を設けることこそ与党の責任ではないか。

 

3.検察庁法改正案の内容に関する件

(1)2019年秋時点では案になかった「内閣が必要と判断した場合に検事正~検事総長の勤務延長(最大3年)できる」規定を急遽加えた意図・動機が胡散臭い。

ア.黒川検事長に違法適用した勤務延長の制度化を狙ったとしか解釈できない。

(2)5月17日現在、これだけ賛否二分している検察庁法改正案の勤務延長できる規定を、採決強行してまで成立させる姿勢が胡散臭い。

ア.与党公明党の議員は賛成なのか

イ.自民党議員のなかに、三権分立、民主主義の危機という意識のある議員はどれだけいるのか。

ウ.コロナ禍での国民感情に配慮する分別が与党・政権にはないのか。

自民党内での意見が聞こえてこないのは不思議。野党がこれだけ主張していることに対し自民党議員として政権擁護の立場から理由を付した積極的賛成意見が普通は多く発信されるものだが

②政権の「全く恣意的に運用することはない」という説明は、少なくとも半数以上の国民は信用していない。
1〉 モリカケ、桜はじめ政権の論理破綻した説明は繰り返されているので国民との間に信頼関係がない。
2〉コロナ禍での政権の後手後手対応への不満が鬱積している。

 

 以上、3ジャンルに分けて問題点を改めて整理してみた。

 5月18日の週からの国会では、少なくとも検察庁法の勤務延長できる規定を分離した審議を与党・政府は判断すべきであろう。

 どうしても勤務延長できる規定を法制化したいのであれば、コロナ禍が落ち着いた時期にしっかり与野党間でのかみ合う論戦をすればよい。

 5月18日の週では、与党議員(まずは内閣委員会所属、法務委員会所属議員、次に前議員対象)に勤務延長できる規定制度化の賛否とその理由をアンケートする行動をしてはどうか。
 
そして、万が一採決強行し今国会で成立を図る行動に出るときは、私たち国民は、党議拘束という言い訳は認めず、次期選挙での洗礼を浴びせることを忘れてはならない。