社会観察雑記帳 通算143回目 -この本この一節⑱- 日航123便墜落の新事実  青山透子著

  -この本この一節⑱-日航123便墜落の新事実  青山透子著

                                  河出文庫

                                2024年6月7日記

 

 著者青山透子氏は、元日本航空キャビンアテンダント(CA)で、1985年8月に起きた今でも人的被害世界最大の日航123便墜落が、後部圧力隔壁修理ミスによる事故とする原因が違うのではないかと、丹念に地元や遺族や関係者の証言、日米公文書資料等を検証し、遺族・仲間の無念に報いるため、真実の追及を推論している最新執筆・出版本である。
(氏はJALを辞め、東京大学大学院新領域創成科学研究科博士号を取得し、この事件の真実の追及をライフワークとしており、本冊が123便関係7冊目の著書)

 

この一節
 最初に掲げたこの一節は、著者が高祖父から受けた教えから導かれた人生訓のような、123便事件とは直接関係のある表現ではない一般論のような文章だが、国や米軍といった権力ある組織が行った判断の正誤を一般の普通の国民が正しく理解・納得するための教訓として、123便事件だけではなく、現在まで続いている国民が対象のあらゆる国策等に相通ずるものと感じ、掲げた一段落である。
東日本大震災復興、原子力政策、防衛政策、安全保障政策、日米関係などにも通ずる)

 

その1
終章 未来の目は見た
181ページ


 政治の良し悪しを見分ける目、自然環境を考える心、汚れた大地ではなくできる限り美しい大地を未来に残し続ける努力、そこに通じるのは、確かな判断力を持つということではないだろうか。これは職業のみならず、あらゆる場において、自らの思考を深めて判断能力を養い、判断した結果に対して責任と自信を持って自律的に生きていくことが大切であるからである。それがプロ意識にも通じる。客観的に見てもその能力を有していることが望ましく、常に成長し続けなければならない。それを止めてしまった時、人は無知蒙昧に堕してしまう。だからこそ優れた教育者によるしっかりとした教育が必要となってくる。無知では政治の良し悪しは見抜けない。

 

 次に掲げたこの一節は、123便事故が事故ではなく事件であるとする推論を裏付ける証拠の主なものを列挙した文章で、本冊の結論でもあるので、掲げておく。

 

その2
184・185ページ


 〇 あの日、まだ明るいうち、墜落前の日航123便を追尾するファントム2機を目撃した人たちがいる事実。
 〇 日航123便のお腹付近に濃い赤色のだ円や円筒形のような物体が吸着しているように見えた事実。
 〇 墜落現場付近の人に目撃された真っ赤な飛行機の存在。
 〇 検視した医師たちが見た、凄惨な遺体状況や炭化した遺体への疑問。
 〇 さらにいまだ引き上げようとしない海底にしずんだままの期待の残骸。

 これらの点をつなぎ合わせていくと見えてくるものがある。

 

 先に記した森永卓郎氏の「書いてはいけない」の123便がらみの記述も、この著者青山透子氏の検証結果を大いに採用しているようだが、青山透子氏の検証、分析は合理的論証から導き出される説得力ある推論となっており、123便墜落の1985年8月から40年が経とうとしている現在(2024年)、日米両政府は真実を明らかにし、事実に正面から向き合う必要がある。


 たとえそれで過去の大物政治家等の責任が明らかになったとしても、そのことで権力構造に変化が起きたとしても、国民に、他国に真摯に向き合う対等な関係からでしか、日本の未来はないと確信するから。