この本のこの一節①② 投稿通し5回目

 そんなに読書をする方ではありませんが、最近読んだ本で、是非他の方々にも読んでほしい本と、その肝の一節を紹介する投稿です。

              

            この本のこの一節 ①②
   ―私が感銘を受けた考え方(多くの人に読んでもらいたい)-

① 「憲法改正の真実」 集英社新書 樋口陽一小林節共著


 著者の樋口陽一氏は、持論が憲法改正の動きに反対の学者、小林節氏も著名な憲法学者自民党憲法改正に向けた勉強会に講師に招いた方で自民党の国会招致参考人としても陳述した学者。

 しかし、両者とも2015年の安保法制改正、解釈変更は、明確に憲法違反であり、権力者による憲法破壊が行われたとしており、現自民党安倍政権による憲法改正には反対の立場での論述を分かりやすく解説している著と思う。

 いわく、
ア. どんな必要があって、どんな政治勢力が、何をしたいために、どういう国内的・国際的条件のもとで、どこをどう変えたいのか、を見極めることが本質。
イ. 憲法は国家権力に対してその力を縛るもの、という憲法の基本を多くの与党国会議員が認識欠如している。

 

本には「9条改正問題」「緊急事態条項問題」「自民党草案論評」なども記述されているが、本質は上記のア.とイ.であると思う。

 まさに、現安倍首相は9条に自衛隊の存在を明記するだけかのような説明を強調しているが、何をしたいための改正提案なのか、また、自民党草案は9条以外でも、国家権力を縛るものという基本認識があるとは思えない国民管理思想が見える提案といえる。

 こうした論点を多くの人々に知ってもらうには手ごろな新書版だということで、推薦したい。(2019年6月1日)

 

② 「日本をどのような国にするか」 岩波新書  丹羽宇一郎


 著者の丹羽宇一郎氏は、ご存じ伊藤忠商事の社長・会長を歴任し、退任後は2010年から駐中国大使も務められた経済人・財界人。経歴からすると現政権支持派と思われがちだが、本書を読む限りきわめてニュートラルな思想の持ち主と推察する。

 現政権の憲法9条改正には、反対の記述がある。むしろ現行条文を守り、アピールすること、非戦のスタンスを世界に広めることこそ日本の役割との考えで、大いに賛同するものである。

 世界における日本の立ち位置から考え、国是をどこに置くのかのコンセンサスを作ることを提起する本で、自然災害、人口問題、AI技術の見通しを専門家に聞きつつ、自らの考えを述べている。

 いわく
ア. 日本は率先して自由と平和を求めていく
イ. 中国・韓国・北朝鮮・ロシア・アメリカの5か国との関係重視
ウ. 現行縦社会を壊し、オール日本のプラットフォームを作り機能させる

 

 そして、最後に国民ひとりひとりが「あきらめない」「一歩踏み出そう」と提起している。まさに同感で、ひとりひとりで何ができるかと、ともすればあきらめ感が出てくるが、それぞれの立ち位置でできることを一歩踏み出す勇気が、今国民には求められていると思う。この、文章もその一環で書いている。
(2019年6月1日)