社会観察雑記帳 -この人この名言1- 通算投稿114回目 岸田政権がすすめる防衛戦略変更にNOを突き付ける名言2題

         岸田政権がすすめる防衛戦略変更にNOを突き付ける名言2題

                                                                                                                  2023年1月18日記

 

 この本この一節の拡大版として、You Tubeで聞いた岸田政権がすすめようとしている軍備拡張戦略が如何に国益を損ねているかの主張を-この人この名言-と題し、2題提供する。

 

その1:ARC TIMES 2023年1月16日の宮台真司社会学者・都立大教授)

 

EU横並びの国家予算2%程度の軍備費、最初に予算ありきで必要な軍備積み上げなしの防衛費、反撃能力保持で中国がどう出るかの分析が全くない議論等々思考停止で愛国主義を謳う与党政治家はとんま以外の何物でもなく、絶望している。国民はリテラシーをもって評価すべき。』

 

 宮台氏は、「重武装・中立化」をかねてから唱え、アメリカ従属からの脱却、相手が脅威と感じる反撃能力は容認との考えだが、今回の岸田政権の戦略は全く思考停止のとんま戦略との主張。「とんま」などの表現が宮台氏特有で敵も多く作る要因だろうが、その論理には説得力がある。
 曰く、反撃能力は相手(現在の日本では中国)がビビッて攻撃をしてこないようにすることだが、中国4000年の歴史や現在の中国共産党の思考回路から判断して、国家予算2%程度の費用をかけた変更で威嚇できると真面目に考えているのか。真面目に考えているとすれば、それはとんま以外の何物でもない。


その2:大竹まことゴールデンラジオ 2023年1月17日の中島岳志政治学者、東工大教授)

 

『敵基地攻撃能力(反撃能力)保持が中国に対し抑止力となるかはなはだ疑問。戦後築いてきた専守防衛という戦略は非常に高度な戦略で、日本は二度とあのような戦争はやらないという考え方を原理としたことで、世界の信用を得、現在の成長を得てきた。この考えを変更することは信用力失墜、際限ない軍拡等国益を損ない、リスクが大きい』

 

 まず、岸田首相は、ミサイル等購入先の米国バイデン大統領への手土産で、国会議論なしで防衛戦略変更を説明に行ったことが大問題、国民を愚弄している行為。
 そのうえで、敵基地攻撃能力保持は、相手である中国が①日本への攻撃着手時点判断が難しいこと、②中国の対日攻撃拠点をすべてつぶせるものか疑わしいこと、③核は地下保管でありその場所がわかっていないこと、等々から抑止力になるとは到底思えない。
 抑止の概念は、相手がこちらを攻撃することによって耐え難い被害を被ると認識することが重要であるが、中国が核保有国であり日本の戦略変更を脅威とは感じないだろう。
 むしろ軍拡の口実を与えることにつながる。では、誰が喜ぶのか。武器を売ることができるアメリカ、軍拡の口実に使える中国のメリットがまず頭に浮かぶ。
 専守防衛という概念は、相手国を攻撃はしません、国を守る戦略しか持ちませんということで、そのことで戦後日本は大きな信用を得てきた。この高度な戦略をくずして良いのか。
 論理的に考えると、今回の戦略変更の先には日本が核武装をすることに帰結することとなるのが自然だが、そこまでの考えはまだ国民に示していないし、アメリカの核の傘を離れる覚悟があるとも思えない。
 また、一方で岸田政権は原発再稼働・新設の考え方も打ち出しているが、原発は相手から見ると攻撃標的として最適で非常に防御が弱いとされているが、そのことへの言及もなく矛盾だらけの戦略変更となっている。

 

 宮台、中島両氏の明快な論理的説明・主張には全面的に賛同する。こうした主張に岸田政権は真正面から答えるべきである。
 国会論議でも野党はこうした本質議論を堂々と(中国の名前も出して)論戦すべきであろう。