信頼なき政府、それを糾弾しないメディアが闊歩する社会を嘆く 社会観察雑記帳 -市民感覚の何かおかしい㊿- 通算投稿78回目

市民感覚の何かおかしい㊿-   通算投稿78回目

     信頼なき政府、それを糾弾しないメディアが闊歩する社会を嘆く

                                                                                                               2021年3月18日記

 

 総務省審議官、局長等の東北新社、NTTからの接待問題が、政務三役への接待疑惑に深化している段階で、国会ではとても民主国家とはいえない政府答弁がまたもや横行している。
 そして、そのこと自体やこうした政府対応が意味することををほとんど報道しないメディアが存在する日本。
 我が国はどうなってしまったのだろう、安倍政権の8年弱でまったく国の形が壊れてしまった感がある。

 

 武田総務大臣の「国民に疑念を持たれるような会合・会食には行かないし行っていない」を何十回も繰り返す答弁は、国会の行政チェック権利を冒涜する論外なごまかし答弁だったが、過去の総務省政務三役も含めたNTTの接待に対する大臣規範との関係に関する加藤勝信官房長官の答弁がおよそ普通の国民には理解のできない解釈でごまかそうとするひどいものである。法政大学の上西教授が命名した「ご飯論法」を過去に駆使した加藤官房長官だが、今回の捻じ曲げた解釈にはどんな命名の論法となるのだろうか?

 

  曰く、大臣規範の1.(6)関係業者との接触等に記されている「関係業者との接触に当たっては、供応接待を受けること、職務に関連して贈物や 便宜供与を受けること等であって国民の疑惑を招くような行為をしてはならない。」の供応接待などは例示であり、「等であって」で文脈は一区切りしている。関係業者との接触にあたっては、大臣等が自らの判断で「国民の疑惑を招くような行為を行わない」ということが重要。とのこと。


  つまり、供応接待や贈答、便宜供与を受けることも、それ自体が規範に抵触するのではなく、大臣等が国民の疑惑を招くものではないと判断すれば、その行為は規範には抵触しない、と堂々と答弁したことになる。

 

  疑惑を招くかどうかの判断をその行為を行った本人がするという、およそ常識人では考えられない解釈を堂々と国会で披歴する政府をゆるしては絶対にいけない。疑惑有無の判断は国民がするものだ。

 

  そして、悲しいのはこんな答弁を許す与党(自民・公明)とメディアである。とくにメディアで、この答弁に嚙みついた社を私は見いだせていない。


  総理会見、官房長官会見等でのメディアの体たらくに慣れてしまってはいけない。
記者会所属社優先の出席制限、一人一問の質問制限、更問できない空気醸成、質問の事前提出など、およそ民主国家とは思えない慣行が当然となってしまった安倍政権時代の罪ははかりしれない。

   立憲民主党共産党など野党陣営には、総務省政務三役、幹部職員の接待問題では、刑法197条、198条の贈収賄(単純)での法違反を徹底的に追及してほしい。そして、大臣規範の捻じ曲げた解釈をする菅政権をとことん追い込んでほしい。

 

   コロナ対策の後手後手対応、吉川農水大臣の収賄、河井克之夫妻の買収、辺野古埋立の違法強行など、現・前政権に対する信頼は地に堕ちている。こんな政府の言うことを多くの国民が聞かないのは当然の帰結であり、その反省もなく時間経過を待つ手法はもう通用しないことを見せつける必要がある。

 

【参考】
刑法197条、198条 公務員の贈収賄


第百九十七条 公務員が、その職務に関し、賄賂(ろ)を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、七年以下の懲役に処する。
以下略
*賄賂は、金銭だけでなく、接待、物品贈答、債務肩代わりなどおよそ人の欲望を満たすものが含まれる
*単純収賄材には贈賄側の請託、実際の不正行為は必要ない
(第三者供賄)
第百九十七条の二 略
(加重収賄及び事後収賄
第百九十七条の三 略
(あっせん収賄
第百九十七条の四 略
(没収及び追徴)
第百九十七条の五 略
(贈賄)
第百九十八条 第百九十七条から第百九十七条の四までに規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金に処する。


国務大臣副大臣及び大臣政務官規範
                                                                                   平成13年1月6日 閣 議 決 定
                                                                          改正 平成 18 年 10 月 24 日
                                                                          改正 平成 18 年 12 月 26 日
                                                                          改正 平成 26 年 5月 27 日
前 文
今般、中央省庁再編が行われるとともに、新たに、副大臣及び大臣政務官の制度が 導入された。こうした状況を踏まえ、政治家であって国務大臣等の公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保するとともに、国家公務員の政治的中立性を確保し、副大臣等の役割分担を明確化するため、下記のとおり国務大臣副大臣及び大臣政務官に関する規範を定める。
国務大臣副大臣及び大臣政務官の服務等
(1) 服務の根本基準 (略)
(2) 営利企業等との兼職(略)
(3) 株式等の取引の自粛及び保有株式等の信託(略)
(4) 資産公開 (略)
(5) パーティーの開催自粛
            政治資金の調達を目的とするパーティーで、国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの開催は自粛する。
(6) 関係業者との接触
       倫理の保持に万全を期するため、
関係業者との接触に当たっては、供応接待を受けること、職務に関連して贈物や 便宜供与を受けること等であって国民の疑惑を招くような行為をしてはならない。
② また、未公開株式を譲り受けること、特定企業における講演会に出席して社会的 常識を著しく超える講演料を得ることは行ってはならない。
(7) 外国からの贈物等の受領 (略)
(8) 秘密を守る義務(略)
(9) 国内外の旅行 (略)
(10)公務員との関係(略)
2 府省の大臣、副大臣及び大臣政務官の職務等 (略)