年金生活に入った普通の市民感覚の吐露(時事)-そもそもこれでいいの⑪- 安倍政権の教育再生という名の教育破壊を見抜こう 通算投稿25回目

          -そもそもこれでいいの⑪-
    安倍政権の教育再生という名の教育破壊を見抜こう 通算投稿25回目

                              2019年10月6日記

 10月4日国会が始まり、安倍総理による所信演説がありました。今回のテーマは、今国会の論戦のテーマではないですが、安倍政権の大罪のひとつであるとの思いから、投稿するものです。

 安倍政権は「美しい国、日本」をめざし、その実現のための教育再生を3つの基本政策のひとつに掲げ、着々と実行しています。
*あと2つの基本政策は、価値観外交(主張する外交)と戦後レジームからの脱却のための憲法改正安倍晋三HPより)

 今回は、安倍政権の教育再生という名の教育破壊について私見を述べます。
 最初に触れておかなければならないのは、教育は、まさに更地の子供たちの頭脳に知識とともに価値観を植え付ける行為であり、権力=政権の長期戦略(10・30・50年)で日本国民の価値観を洗脳・変更しうることにつながる重大な政策で、その政策の変更が国民の間で大きな議論もなしに着々と進んでいるということです。
 2006年(H18年)第一次政権時に教育基本法改正(改悪)、2018年(H30年)第二次政権で道徳の教科化が成立・実現しています。


1. 教育基本法改正(改悪)
 改めて2006年の教育基本法改正部分の肝を私なりに概観します。
(1)前文
 改正分
真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し新しい文化の創造を目指す教育

旧法の表現

真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性豊かな文化の創造をめざす教育
〇 希求するものが平和から正義へ変更。正義の価値観は変化します。一方の論理で正義を定義し、戦争に突入した歴史を世界は、日本は経験しています。
〇 個性豊かな文化の創造を、公共の精神を尊び豊かな人間性と創造性に変更しています。個性という表現をあえて削除し、公共の精神を尊びという文言を加筆する意図は、個よりも集団秩序を重視する宣言とも読めます。
〇 伝統を継承しという表現を加筆しており、復古主義が垣間見えます。

(2)第一条 教育の目的

改正分

国家および社会の形成者として必要な資質を備えた心身共に健康な国民の育成

旧法の表現

国家および社会の形成者として真理と正義を愛し、個人の価値を尊び、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身共に健康な国民の育成
 〇 個人の価値を尊び、自主的精神に充ちたという表現を削除した意図が不明。あえて削除していると勘ぐることができます。


(3)第二条 教育の目標
 改正分
学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう~(全5項目)
3.公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと
5.伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと

旧法の表現

学問の自由を尊重し、実際生活に即し自主的精神を養い、自他の敬愛と協力によって、文化の創造と発展に貢献する~
 〇 3.は個性より集団重視の思想ともいえます。公共も正義と同様時の権力=政府が定義・決定できるもの
 〇 5.当たり前のことをあえて表現する意図は、上から子供に愛国心を植え付けようとしています。本来、自由で自発的な意思に任せるべきもの。(逆に押し付けの愛国心思想統制につながる)

(4)第三条以降の個別条文も新設表現が多く、問題点は多々ありますが、本稿では省

  略します。


2.道徳の教科化
 小学校では2018年度(H30.4)から、中学校では2019年度(H31.4)から「特別の教科 道徳」がカリキュラムに組み込まれてしまいました。
 検定教科書の使用義務、評点による成績評価導入など、算数・国語等の他の教科と同様の位置づけで道徳を捉える体系が始まったのです。


 評価については、学習指導要領解説で、数値ではなく励ます個人内評価として記述式で行い、かつ、大くくりなまとまりを踏まえた評価としていますが、所詮要領解説ですので、時がたてばいくらでも変更ができるものです。

 

 教育基本法の改正(改悪)によって、公共の精神、正義を重んじる、愛国心をはぐくむ、といった時の政府が是とする考え方を価値基準に置くことができる「道徳」教科を教科書を通じて学ぶ方式、しかもそれを教師が評価する(いずれ相対評価になり、絶対評価の危険性もはらむ)ということは、思想統制同調圧力へ導く懸念、危険があると思います。
 *現場では、教師の方々の努力で考えさせる、議論させる方法など工夫はこらしているでしょうが、最終的に教師の側から正解という考え方を披歴するようにもっていくことが、果たして良いのでしょうか。


 明治憲法下の修身、教育勅語に似た価値観の復活、同じ方向を向く考え方の推奨が懸念されます。
 まして、この道徳の教科化を推進した安倍政権は、森友・加計学園問題、公文書隠蔽、国会・憲法軽視・無視(臨時国会未召集・解釈改憲強行)など、ルールを無視している政権であり、反面教師にこそなれ、道徳を語る資格はありません。


 安倍政権の教育再生という名の教育改悪を軌道修正させる議論を是非巻き起こすことを心ある文科官僚に期待します。